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SOUND CORNERvol.117

『STRANGE DAYS』
THE DOORS

STRANGE DAYS / THE DOORS

THE DOORSを聴けば大学生の頃の思い出がたくさん甦る。それを特にサイケデリックと意識して聴いていたわけではないし、もちろん薬物やある種の煙ととも聴いて酩酊したり、騒いだりしていたわけでもない。THE DOORSの曲にかんして言うなら、やはり1stアルバムのラストを飾る「THE END」が最も有名だろう。あの『地獄の黙示録』にも暗示的に何度も出てくる曲である。それはエディプス・コンプレックスを想起させる歌詞が登場することでも知られているが、全体的にシュールな世界である。自分はいわゆるシューリアリスティックなものが好きなわけではない(アンドレ・ブルトンにも傾倒したことはないし)のだが、この曲を聴きながら歌詞を追っている時に、ジム・モリソンが「…すべての子供たちは狂ってしまった。そして夏の雨を待っている」と歌った瞬間に背筋に寒気が走った。それはこれまでに音楽を聴いて体験したことのない寒気だった。よくわからない歌詞なのに、それがえもいわれぬ形而上的な意味をもって、自分の頭の中に入ってきたのだ。それを契機に、1st、2ndと順を追って聴くようになった。この『STRANGE DAYS』は邦題を『まぼろしの世界』という。しかしアルバム内の「まぼろしの世界」という邦題をつけられた曲は原題を「PEOPLE ARE STRANGE」という。ここには1stの「THE END」「LIGHT MY FIRE」「BREAK ON THROUGH(TO THE OTHER SIDE)」ほどの超有名曲はないが、劇的というより演劇的な「WHEN THE MUSIC'S OVER(音楽が終わったら)」がある。
「LOVE ME TWO TIMES」も「STRANGE DAYS」もキャッチーだ。後者はプロレスラーのエリック兄弟のたしか長男(故人)の入場曲にもなっていたはずだ。そして「MOONLIGHT DRIVE」。この曲はジム・モリソンの処女作と言われている。ある時、ルアーの塗装をやりながらTHE DOORSを流していて、ちょうど夜間の視認性がよく、それでいてパールのキツすぎないカラーを塗っていた時だった。背と腹、つまり上下はホワイトを吹いた上にパールを重ねて、少し透過しにくくしてシルエットを固め、サイドはパールを少なめにして微妙な反射と透過を両立させるように吹き終わり、「さて、カラー名は何にしょうか?」と思った時だった。ちょうどそれまで流れていたこの曲が終わったのだ。月明かりの中を泳ぐ夜のカラー、「これだ」と思った。「さあ、月まで泳ごう。波の中を上ろう。隠れるように街が眠る夕暮れを突き抜けて…」。その歌詞に重なるように、パールホワイトのルアーが波間を泳ぐ、ひとつのイメージができ上がった。まあこのルアーのカラーリングの話は余談だが、THE DOORSの曲には聴き手のイマジネーションをかき立てるモノが多い。得体のしれない風景が頭に浮かんだり、知らない人の顔が出てきたり。でもそれこそがサイケデリックたるゆえんなのだろうと、少し後になって気がついた。

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