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SOUND CORNERvol.66

SOUND SELECT
UNMASKED / KISS

デビュー以来ずっと続く、邦題に冠された「地獄」が消えた作品。ハードなエッジがないのは、前作『DYNASTY(地獄からの脱出)←ポップになったので地獄から脱け出たという意味かも』からの流れだが、ここには「I WAS MADE FOR LOVIN' YOU BABY」のような大ヒットチューンはない。しかし、楽曲の充実度では『DYNASTY』を上回っているといえるだろう。
アルバム中最もヘヴィな「IS THAT YOU?」で始まるが、よく聴くとR&Rピアノが入ってたりして「やっぱり違うKISSになったなあ」と感じたのを覚えている。もちろんそれを含めて嫌いではないが…。シングルカットされヒットしたのは2曲目の「SHANDI」だった。昔のKISSからは想像がつかない曲だが、これはこれでなかなかの佳曲だと思っている。その他、ポップで聴きやすい(もはやハードロックというよりハードポップだ)が、実はなかなかイイ曲が多いのである。個人的には3、6、7、9などが気に入っている。それらはよく高校生の頃、鼻歌にしていたものだ。もちろんキーが高いから落としてたけど。
『DYNASTY』ではディスコブームにのせた「I WAS MADE FOR LOVIN' YOU BABY」が大ヒット、しかし次作である『UNMASKED』は、アルバム発売直後のピーター・クリスの正式脱退発表や、セールスの伸び悩みなどがあり、KISSの迷走はここに始まった観がある。その迷走は『MUSIC FROM“THE ELDER”』という迷作を生み、我々リスナーは「KISSて一体???」となるのである。正直な話、この後KISSのアルバムからは興味が失せてしまった。世間はNWBHMからLAへ、そしてチャラい音へのアンチテーゼとしてスラッシュが勃興する。その頃KISSはメイクを落としてみたり、ちょっとヘヴィめのアルバムを作ってみたりで、路線は定まってないように見えた。再び「KISSてやっぱり楽しいし、カッコええやん」と世間が認識するまでには、けっこうな時間が費やされた気がする。
なんで今頃『UNMASKED』なのか?といえば、たまたま先日、懐かしくなって本作のSMH-CDを買ったからです。昔より幅広く聴ける、現在の耳をもってすると、ポップだがやはり佳作だと思う。アメコミ・ジャケットも楽しいしね。
UNMASKED / KISS