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SOUND CORNERvol.15

SOUND SELECT
HAIR OF THE DOG / NAZARETH

 王道型ブリティッシュロック・ファンならNAZARETH(ナザレス)の最高傑作として『RAZAMANAZ』を挙げるのが普通だと思います。俺もアナログ盤での話なら勢いのRAZAMANAZ』か、熟成の本作かで迷う。しかし、オリジナルジャケット・コレクションとして再発された紙ジャケシリーズのCDなら、この『HAIR OF THE DOG』を挙げたいですね。というのもボーナストラックが 魅力なのですわ。なんせあの「LOVE HURTS」のスタジオバージョン収録されていて、しかも歌詞付き。「HOLY ROLLER」も2バージョン収録されているし…。

 ほとんどの人がNAZARETHについては「あのアクセル・ローズが好きだとか言ってたバンドだろ」というぐらいしか知らないと思うので、『HAIR OF THE DOG』までを簡単に説明しておこうと思います。このバンドの看板
ともなっている渋くカッコよすぎるウィスキー・ヴォイスを絞り出すVoのダン・マッカファティとDrのダレル・スウィート(1999年他界)、bのピート・アグニューが結成し、やがてGのマニュエル・チャールトンが加わってNAZARETHとなります。1971年にセルフタイトルの「NAZARETH」を発表。のちにDEEP PURPLEのオープニング・アクトをつとめたことから、ロジャー・グローバーのプロデュースを得ることになります。そして名作の呼び声高い3rdアルバム『RAZAMANAZ』が生まれます。

 4thの『LOUD'N'PROUD』からはジョニ・ミッチェルの「THIS FLIGHT TONIGHT」のカヴァーが大ヒット。そしてロジャー・グローバーのプロデュース3部作のラスト、5th『RAMPANT』を経てこの『HAIR OF THE DOG』に至ります。スコットランド的土着性とALLMAN BROTHERS BANDへの傾倒からも窺える土臭さや埃っぽさ、そしてブリティッシュハード的攻撃性が合体した、NAZARETH特有のハードロック(メタルとは絶対に呼べない)を展開しています。

 この『HAIR OF THE DOG』は、ロジャー・グローバー3部作後の集大成的アルバムでもあり、もっともブリティッシュハード的アルバムでもあり、同時に分岐点に立つアルバムでもあると思います。分岐。ちょうどこの頃リリースされたシングル「LOVE HURTS」がカナダで大ヒットし、その後、マーケットをアメリカに定めた作品が増えていくようになるからです。変貌前の濃密、NAZARETH史上最もヘヴィでドラマティックなアルバムでしょう。あのー、ヘヴィでドラマティックと言っても、あくまでも「NAZARETH史上」の話ですよ。

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